大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第二小法廷 昭和58年(オ)1385号 判決 1984年3月30日

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人山田愛彦の上告理由について

原審が適法に確定した事実関係のもとにおいては、被上告人の被承継人福利信用金庫桜川支店の担当行員が本件預金(イ)及び(ロ)の各預金者はいずれも訴外倉元正彦であると信じ、かつ、かく信ずるについて過失がなかつたとしたうえ、民法四七八条の類推適用により、被上告人は上告人に対し、本件預金(イ)は、同訴外人の申出によつて期限前に解約され、同訴外人に対する払戻によつて消滅したこと、また、本件預金(ロ)は被上告人が同訴外人に対する二〇〇万円の貸付債権を自働債権としてした相殺によつて消滅したことを主張できるとした原審の判断は、いずれも正当として是認することができ(最高裁昭和五五年(オ)第二六〇号同五九年二月二三日第一小法廷判決・民集三八巻三号登載予定参照)、原判決に所論の違法はない。論旨は、独自の見解に基づいて原判決を論難するものにすぎず、いずれも採用することができない。

(裁判長裁判官 木下忠良 裁判官 鹽野宜慶 裁判官 宮崎梧一 裁判官 大橋 進 裁判官 牧 圭次)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例